毎年5月10日から16日までが「愛鳥週間」です。初夏にハイキングで高原を歩く機会があると、たまに「カッコウ」の声を耳にします。「カッコウ」は、アフリカや南アジアに生息し、日本には5月頃に夏鳥として飛来します。体長は35cm程でキジバトほどの大きさです。このオスの鳴き声「カッコー!カッコー!」がそのまま名前の由来となっており、メスは「ピッ、ピッ」と鳴きます。商売がはやらない例えの「閑古鳥(かんこどり)が鳴く」は「カッコウ」のことで、昔の人は鳴き声がよほど寂しく感じたのでしょうか。カッコウは7月末頃までが繁殖期となりますが、自分では子育てをせず、他の鳥の巣に卵を産みつけて育てさせる「托卵(たくらん)」という寄生行動をします。托卵される「仮親」としては、オオヨシキリ、モズ、オナガ、ホオジロなど、卵の色やヒナの餌がほぼ同じ鳥が選ばれます。日本では、カッコウの他にホトトギスが托卵を行いますが、これもカッコウ科の鳥です。仮親は、カッコウの卵とは気づかず自分の卵といっしょに温め続けます。カッコウのヒナは、短期間でふ化するため他の卵より先に生まれることが多く、生まれたヒナは、他の卵を自分の背中に乗せて全て巣から落として殺してしまいます! こうして仮親が運んでくるエサを独り占めし、自分だけを育ててもらうのです。巧妙でかなり腹黒い策士ですね。カッコウのヒナは成長すると仮親より大きくなりますが、それでも仮親は献身的にエサを与え続けるのです。我が子を皆殺しにされた挙げ句、さらにだまされ続ける仮親が哀れでなりません。カッコウは「托卵」のためだけに日本を訪れ、それが終ると南アジアに帰ってしまいます。我が子のふ化を見届けず、産まれたヒナも親を知ることもないのです。それが「カッコウ」の生存と種の保存のための「生き様」なのですね。(2025.5/15) |