加藤孝造名誉顧問、人間国宝に認定  
「人間国宝認定」
■この記事は平成22年7月16日に掲載しました。(内容はいずれも当時)

このたび、社団法人美濃陶芸協会の加藤孝造名誉顧問が、瀬戸黒の技法により、国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
これは、2010年(平成22年)7月16日に文化庁より発表されました。
瀬戸黒は、それまでの保持者であった人間国宝・荒川豊蔵氏が1985年(昭和60年)に死去したため、重要無形文化財指定が解除されていましたが、今回再指定され、加藤名誉顧問が瀬戸黒では2人目の人間国宝となりました。
加藤名誉顧問は、1963年(昭和38年)の社団法人美濃陶芸協会設立に際し理事となり、1990年(平成2年)から1997年(平成9年)まで第二代会長を務めました。その後、名誉会長を経て、2009年(平成21年)より名誉顧問。

【 瀬戸黒(せとぐろ)】 桃山時代、美濃で焼かれた、引き出しの技法による総黒のやきもの。その名を「美濃」ではなく「瀬戸」とするのは、桃山時代の畿内においては、美濃窯と瀬戸窯とを区別せず、両者併せて「瀬戸」と理解していたことによる。漆黒茶碗が茶人に好まれたため、瀬戸黒はほとんど茶碗しかない。その独特の漆黒は、焼成中に釉薬の溶け具合を見計らい、鉄製の長いはさみで引き出して常温まで急冷させることにより、釉薬中に含まれている鉄分が黒色化して生まれたもの。別名として、その技法から「引き出し黒」、天正年間(1573~1593)より焼かれたことから「天正黒」とも呼ばれる。(角川日本陶磁大辞典より抜粋)


● 主な陶歴
1935 ・3月12日、岐阜県端浪市に生まれる。
1953 ・光風会展(洋画)に初入選、以後8回出品。
・岐阜県陶磁器試験場にて、場長の陶芸家・五代加藤幸兵衛に陶芸の指導を受ける。
1954 ・第10回日展(洋画)に初入選。
1955 ・岐阜県陶磁器試験場工芸科(主任技師)の頃より進路を陶芸に固める。
1957 ・皇太子殿下ご成婚を記念し、岐阜県より献上の染付「浅間山」陶板を制作。
1959 ・朝日新聞社主催 現代日本陶芸展に初入選。
・加藤孝造個展(初個展・ボニエル工芸店/ニューヨーク)。
1962 ・朝日新聞社主催 現代日本陶芸展課題作の部にて三席に入賞。
・日本伝統工芸展に「志野日帯文壷」初出品初入選(以後同展に出品)。
1963 ・社団法人美濃陶芸協会を設立。理事に就任。
・朝日陶芸展入選入賞 以後受賞を重ねる。
1965 ・岐阜県より献上の染付「鵜飼」陶板二面を制作。
・多治見市星ケ台に薪・石炭併用の倒焔式単室窯を築く。
1966 ・日本工芸会正会員に就任。
1967 ・朝日陶芸展で「鉄釉壺」が優秀賞を受賞。同展評議員となる。
1968 ・「鉄釉花器」で第15回日本伝統工芸展朝日賞を受賞。
1969 ・第1回東海伝統工芸展最高賞(第一席)を受賞。
1970 ・岐阜県陶磁器試験場工芸科を退職し、多治見市星ケ丘で制作活動に入る。
・陶房に来訪した陶芸家・荒川豊蔵の助言を得て穴窯を築く。
・多治見市星ケ丘に半地下式単室穴窯を築く。
・日本陶芸展(毎日新聞社主催)に推薦招待出品となる。(以後隔年)
・朝日陶芸展審査員となる。
1972 ・可児市久々利平柴谷に穴窯と登窯2基を築き、桃山の陶芸技術の追求に努める。
1975 ・中日国際陶芸展評議員となる。以後主として個展を作品発表の場とする。
1979 ・名古屋松坂屋本店にて「志野・瀬戸黒・黄瀬戸」による茶碗五十選展を開催。
1981 ・「日華現代陶芸展」(中華民国歴史博物館主催)に招待出品。
1982 ・「現代の茶陶百碗展」(読売新聞社主催)招待出品。
1983 ・全日本伝統工芸選抜展招待出品。
・加藤幸兵衛賞が創設され第一回「加藤幸兵衛賞」を受賞。
・東海伝統工芸展鑑査員となる。
・日本工芸会東海支部幹事となる(陶芸部会長)。
・「伝統工芸30年の歩み展」(東京国立近代美術館主催)出品。
1984 ・中日国際陶芸展審査員となる。
1985 ・日本陶磁協会賞受賞。
・岐阜日々新聞社賞「教育文化賞」を受賞。
1986 ・大阪ツイン21ビル「ナショナルタワー」と「MIDタワー」のメインロビーに志野陶壁「漠煌平」、織部陶壁「海潮音」を制作する。
・東濃信用金庫本店ロピーに志野陶壁「みのり」を制作する。
・中日国際陶芸展審査員となる。
1987 ・名古屋松坂屋本店にて 大自然の賛歌ー太陽と水と緑-陶巌壁展開催。
1990 ・大阪IMPビル・ロビーに陶壁「展」制作。
・今上天皇即位の礼を祝って、岐阜県より献上の志野扁壷を制作。
・社団法人美濃陶芸協会の第二代会長に就任。
・岐阜県文化懇話会会員就任。
1991 ・現代陶芸の美展〔セゾン美術館)招待出品。
・志野・瀬戸黒の技法で、多治見市無形文化財保持者に認定。
1992 ・岐阜市葬祭殿ロビーに陶壁「夢」を制作。
・多治見市産業文化センター5階ホールに陶壁「清輝」を制作。
1994 ・東海テレビ文化賞受賞。
・多治見市役所ロビーに陶壁「濤」を制作。
1995 ・瑞浪市立瑞浪小学校ロビーに陶壁「風魂」を制作。
・志野・瀬戸黒の技法で、岐阜県重要無形文化財保持者に認定。
1996 ・現代日本陶芸の秀作-アジア巡回展出品。
1997 ・社団法人美濃陶芸協会会長を辞し、名誉会長となる。
1998 ・中日文化賞受賞。
・岐阜県芸術文化顕彰受章。
1999 ・可児市の陶房に古民家を移築し「風塾」を創設。
2002 ・日本陶芸展〔毎日新開改組)招待(以後隔年)。
・国際陶磁器フェスティパル・美濃(陶芸部門)審査員。
・東京国立近代美術館「昭和の桃山復興展」荒川豊蔵についてギャラリートーク。
・丸沼芸術の森にて幽玄の世界「瀬戸黒孝造展」開催。
2003 ・第4回織部賞受賞。
・日本伝統工芸展50周年記念「わざの美」展出品。
・岐阜県文化財保護審議会委員。
・岐阜県現代陶芸美術館協議会会長。
2005 ・岐阜県陶磁資料館顧問。
・地域文化功労者文部科学大臣表彰。
2007 ・紺綬褒章受章。
・ロンドン大英博物館主催・日本伝統工芸展50周年記念「わざの美」展出品。
2008 ・日本橋三越本店にて作陶五十年記念「加藤孝造陶展」開催。
2009 ・社団法人美濃陶芸協会名誉顧問となる。
・平成21年度岐阜県各界功労者表彰。
2010 ・第29回「伝統文化ポーラ賞」受賞。
・瀬戸黒の技法で、国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。
収蔵 国立近代美術館
ニューヨーク・クラフト美術館
岐阜県美術館
宮内庁・赤坂迎賓館
岐阜県現代陶芸美術館
その他
 


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