旧暦6月1日は夏の始まりとされ、「氷室(ひむろ)の節会(せちえ、宮廷の祝日)と言う宮中行事の日でした。平安の昔より、丹波山中の「氷室」に保存してあった「雪氷(せっぴょう)」を、天皇が朝廷の高官に下賜(かし、与える)する儀式が、この日に行われていたのです。この日に氷を口にすると夏負けしないとされていました。この故事にちなんで、江戸時代、「加賀・前田藩」が「徳川将軍家」に忠誠を示すために「氷の朔日(ついたち)」と称して金沢から「江戸城」まで、この6月1日に最高のぜいたく品として「雪氷」を献上していました。大寒(1月下旬)の頃に、雪を山中の「氷室」に貯蔵し保存しました。そして献上の時期になると、二重構造の「長持(ながもち)」に約60kgの「雪氷」をムシロで包みすき間にクマザサを詰めて、長持の重さ40kgと合わせて約100kgを4人1チームで通常12~14日ほど掛かる江戸までの約120里(480km)を、「早飛脚(はやびきゃく)」が昼夜を徹してわずか4日間で駆け抜けて運びました。先回りしていたもう1チームと一度交替するだけで江戸まで突っ走るのです。60kgの「雪氷」も江戸に着く頃にはわずか1kg以下まで減っていたそうです。この「雪氷」を加賀藩江戸屋敷で桐箱に収め、藩主が将軍に献上したのです。将軍はこれを食することはなく、冷涼を楽しんだり、果物を冷やすのに使われたそうです。加賀藩はこれを幕末まで毎年行っていたと言いますので、究極の「ゴマスリ」と言えますね。これらの歴史から、現在6月1日は「氷の日」とされています。(2026.6/1) |