「朧月(おぼろづき、ろうげつ)」は、月が霞(かすみ)や雲に包まれ、ぼんやりと優しくかすんで見える春の月のことです。水蒸気が多い夜の空気感を表し、幻想的な情緒を醸し出します。4月中旬頃~5月初旬頃を「晩春」と言いますが、その頃中国方面から移動性高気圧がやってきて、日本列島を通過します。移動性高気圧の後には温帯低気圧もついてきます。この、温帯低気圧が近づいているサインとして「おぼろ雲」が登場し、「朧月」となるのです。従って、この「朧月」が登場すると天気は下り坂だと言われています。移動性高気圧が通過するのは春と秋ですので、おぼろ雲越しの月も春や秋によく見られます。しかし、「朧月」という言葉は春の季語で、秋の場合は「幽月(ゆうげつ、薄暗い月光、かすかに見える月)」などと言います。この「朧月」は、春の終わり頃の「時候の挨拶語」なので、「朧月の候(ろうげつのこう)」などとして、4月中旬から下旬にかけて使います。唱歌「おぼろ月夜」は皆さんよくご存じでしょう。♪菜の花畑に 入日薄れ 見渡す山の端 霞み深し 春風そよ吹く 空を見れば 夕月かかりて 匂ひあわし♪ この歌は、大正3年(1914)に「尋常小学校唱歌・第六学年用」の教科書に発表されました。幼き頃の思い出を呼び覚ます美しい日本語で綴られた叙情歌で、「ふるさと」、「もみじ」などと共に、作詞=高野辰之、作曲=岡野貞一の黄金コンビによる代表作品の一つですね。NHKが実施した「あなたが選ぶ日本のうた・ふるさとのうた」で、第4位を獲得しています。2006年には「日本の歌百選」に選定されました。(2026.4/15) |