12月ともなれば、すでに暖房が活躍していることでしょう。エアコンはお手軽ですが、やはり石油ファンヒーターの暖かさにはかないません。ただ、灯油の購入と補充は少々面倒ですよね。さて、「比叡山延暦寺」の中心となる本堂は「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」と呼ばれている国宝です。このお堂の内陣には、小さな灯明(とうみょう)が上げられています。この火は、創建した「最澄(さいちょう、766〜822)」が本尊の薬師如来を祀った時(延暦7年・788)に灯した灯明で、驚くべきことに1200年以上もの間一度も絶えることなく燃え続けているそうです。その小さな火は、僧侶が毎日2回欠かさず「菜種油」を注ぎ足しているのです。もし、僧侶が油を注ぎ忘れてしまったとしたら、その灯明はいとも簡単に消えてしまいます。うっかり「油を断つ」と火が消えてしまう、ここから「油断(ゆだん)」という言葉が生じ、決して気を抜かないよう戒めるために「油断大敵」と言う「ことわざ」も延暦寺で生まれたとされています。比叡山延暦寺と言えば、織田信長の「比叡山焼き討ち(元亀2年・1571)」で有名ですね。この時、すべての伽藍が焼き払われたと言われています。その時も、この火は別のお寺に分灯されていたため守られ、現代まで消えずに受け継がれているのです。万が一の時の対策が出来ていたんですね。それで、この灯明は「不滅の法灯」とも呼ばれています。この「不滅の法灯」は、根本中堂へ行けば見られますし、元日にはネット生配信されて見えるんですよ。(2024.12/1) |