4月8日は、「灌仏会(かんぶつえ)」と言って「釈迦」の誕生日です。「花まつり」とも言います。「釈迦」は、今からおよそ2,500年ほど前のこの日、北インドの「釈迦族」のスドーダナ王とマーヤー妃の子として、この世に生を受けました。生まれてすぐに「7歩」歩いて、天と地を指さして「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と叫んだと伝えられていますが、この「7歩」とは一体何を表すのでしょうか。7歩とは、「六道輪廻」の迷いを越えた7つ目の道として、「仏」すなわち「悟りの世界」を指し示しているのです。人は生前の行いによって死後に「地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上道」のいずれかの「苦の世界」に堕ちるとされ、その六つの世界を車輪が転がるように、とめどもなく転生し続けるのが「六道輪廻(ろくどうりんね)」です。この苦しみの連鎖から救ってくれるのが「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」です。「地蔵菩薩」は、日本では平安時代からひろく信仰され、「お地蔵さま」として親しまれています。「笠地蔵」と言うおとぎ話をご存じでしょう。貧しいけれど心の清い老夫婦が、道端の「六地蔵」が寒かろうと、あじろ笠と手拭いを被せ、のちにその恩返しを受けるというもので、よく知られていますよね。この「六地蔵」は、「六道」を現し、そこに堕ちて苦しむものを救い諭す「象徴」なのです。「六道」の一つ「人間道」は、「四苦八苦」に悩まされて今を生きる、我々人間そのものの世界であるため、昔から辻や墓地などに「お地蔵さま」を安置し、救いを求めて祈っていたのですね。(2025.4/1) |